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zoom RSS 実験の考え方

<<   作成日時 : 2005/02/14 02:45   >>

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研究者やエンジニアの仕事では、よく実験を行います。
実験は普通、下のような順で行います。

@仮説を立てる
言い換えると、実験の目的を立てることです。実験は大抵の場合、ある仮説を証明する目的で行われます。

A仮説を立証する、実験計画を立てる
仮説を立証するために、どのような実験をどのような方法で実施すれば良いか、計画を立てます。因果関係が複雑な実験になると、要因の切り分けを適切に行うため、注意をはらいます。

B実験する
これは、改めて説明の必要はないでしょう。いわゆる、「実験」です。

Cデータを解釈し、結論を導く
データを分析して、仮説を採択するか棄てるかを決めます。


実験というと、フラスコを振っている研究者、というようなイメージを持たれている人も多いと思いますが、それだけが本質でなく仮説やデータ解釈は非常に重要です。

上記のフローで実験データが明確に仮説を支持しているものであれば良いのですが、そうでない場合は仮説やデータ解釈によって結論さえも左右されかねません。

私も、実験結果が(数値上は)同じデータでも、一方は仮説に合致するので「有意差だ」、もう一方は仮説に合致しないので「測定誤差」だ、と言ってしまったりすることがあります。
それは、異なる仮説を持っている人にとっては、全く逆にもなり得ます。

仮説にはこだわらないといけない、しかしこだわり過ぎると新しい発見を逃す。
データ解釈においても、何が有意差で何が測定誤差なのか判断しないといけない。(最悪の場合、実験が適切でなかったという結論を含めて検討しないといけない)
そこは、人間の行うことですから、当然個人差が出てくる。非常に実験者のセンスが問われる部分です。



炭素の同素体の一つに「カーボンナノチューブ」と呼ばれるものがあります。
これは、飯島澄男先生が発見されたのですが、実はそれ以前にも、それを見ていた人は何人かいたという話があります。

しかし、その人たちはカーボンナノチューブに特に興味を示しませんでした。
そして、飯島先生が初めてカーボンナノチューブに焦点を当てた実験をして、「発見」しました。

このような例をみていると、仮説やデータ解釈の重要性がよく分かります。
たとえ、ある同じ実験手順で同じデータを得たとしても、結論が違うことが起こるのですから。



以上のように、同じ実験結果からでも、人により(しばしば、同じ人でも時により)異なる結論を導いてしまうことがあります。まさに、同じ小説を読んでも、読む人により受け取るメッセージが違うように。

ということで、優秀な科学者は実験センスだけでなく、仮説の立て方やデータの解釈に鋭いセンスを持っています。

また、一見無味乾燥に見える科学実験も、そういった部分に人間臭さがあるといえるのかもしれません。

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コメント(5件)

内 容 ニックネーム/日時
理系スタイルさま、今晩は。
実験・研究に携わるものの考察になるほど、と思って読ませて頂いていました。そして、カーボンナノチューブ・・・。個人的に思い出深いアイテムだったので、敏感に反応してしまいました。

話は変わりますが、円周率って3.14・・・っていうのは間違いだったようです。以下抜粋します。「千葉電波大学の研究グループの発表によると、円周率計算に際し、改めて既存の円周率計算プログラムを点検してみたところ、円周の誤差を修正する数値に誤りがあることに気が付いた。この数値を正常値に直して計算しなおしてみたところ、円周率は10桁で割り切れたという。

 同大の発表では円周率は「3.151673980」。3.1415・・・と続く、従来考えられていた数値は全くの誤りで、早急に修正が必要だという。また、これをうけて円周率暗記記録のギネス認定(5万4千桁)も取り消される見通し。」
直接的に何か難を強いられた記憶は無くとも、スッキリとした気持ちにな
りました。
長々と失礼しましたm(_._)m
komayu
2005/02/15 19:40
理系スタイルさま。再度こんばんは。。。
上記した円周率の記事なのですが、まぁ、冷静になれば分かるところですが、なんと友達から送られてきた嘘記事だったのです(T_T)単純な私は、本当に単純にテンションが上がり、報告しないとー!という勢いで載せてしまいました。大変お騒がせしました。あまりの信じている風に友達が焦って訂正文をくれたのです。本当に落ち込んでおります。
そして、コメントとしてニセ抜粋記事を載せてしまった事を、深く反省しております。失礼しましたm(_._)m
komayu
2005/02/16 00:04
円周率は無理数ですが、それが有理数になってしまうとのこと。
内容はデマだったようですが、本当だとすごいですね。

人間ははっきりしない物は排除したがるのでしょうか?
やっぱり割り切れない数は腑に落ちないんですね。

ここらの話には人間の数の理解に対する本質的なものが隠れていると思います。
その話をまた別の機会にできたらと思います。
理系スタイル
2005/02/19 02:23
元地質学系・現在情報工学系の人間です。
割り切れない=いつまでたっても全容を把握できない=人間には完全に知ることは出来ない・・・というのが気持ち悪いのかもしれないですね。
よく考えれば、10進数なんて人間の指が10本だったから使われているだけで、たとえば、10/3も3進数ならきれいに割り切れるし、0.1が2進数では実は割り切れないのも有名な話。
円周率は無理数だから何進数でも無理ですけど。
でも、人間である以上、人間中心(自分中心)の見方という束縛はどこまでもついてまわるんでしょうね。
淳庵
2005/02/23 02:44
人の指の数が10でなければ、12進数になっていただろうと言われます。
なぜならば、2〜4で割り切れて便利な数字ですから。
ダースとかグロスとかの単位も12進数です。

それにしても、無理数って不思議な数字ですね。
どこまでも、定規の目盛りをすり抜けていく数字です。
理系スタイル
2005/02/24 23:41

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